こんにちは、もずくです。
2021年の本屋大賞に輝いた町田そのこ著書の『52ヘルツのクジラたち』がこの度映画化します!
公開は2024年3月1日(金)で、主演の杉咲花さん他、志尊淳さん、宮沢氷魚さん、西野七瀬さんなど豪華キャスト陣が出演されます。
そんな『52ヘルツのクジラたち』はどんな作品なのでしょうか?
あらすじをネタバレ・結末含め紹介していきます!
※この記事はネタバレを含みます
あらすじ
はじまり
主人公、貴湖は家族との壮絶な過去を抱え、逃げるようにして祖母の残した大分の海辺の一軒家にやってきます。
そこで出会ったのは、母親から虐待を受け、自身のことを「ムシ」と名乗る、ことばを失くした一人の少年。
貴湖はそんな少年を自身の過去と重ね合わせ、母親のもとへ殴り込みに行きますが、「どうでもいい」と一蹴されます。
そこで貴湖は少年と一緒に住むことを決意し、少年との暮らしの中で少しずつ過去を振り返っていきます。
貴湖の家族
ここから貴湖の回想が始まります。
貴湖が高校を卒業するタイミングで義父が事故。要介護となってしまい、貴湖は母親の命令でその介護要員となります。
ほとんど感謝もされず、義父の食事や排せつの世話をする毎日。
あげく、誤嚥性肺炎で緊急入院になった義父を見て母親から
「お前が病気になればよかった、お前が代わりに死ねばいい」
と言われます。
貴湖はその言葉に絶望し、病院を出て彷徨い歩くのでした。
美晴との再会、アンさんとの出会い
そんな時、たまたま遭遇したのが高校三年間同じクラスの友人だった美晴です。
貴湖の姿に違和感を感じた美晴は、半ば強引にそのまま貴湖を飲みに誘います。
そこで紹介されたのが美晴の会社の先輩、岡田安吾。通称アンさん。
人の好さそうな見た目の彼と話していくうちに緊張の糸が切れた貴湖は、涙を流しながら少しずつこれまでの経緯について話し始めます。
壮絶な過去を知り、絶句する美晴。
アンさんは静かに話を聞きながら、「呪いから一緒に抜け出そう。新しい人生をはじめよう。」と貴湖を優しく諭します。
そんな言葉をききながら、貴湖は少し希望を持てたような気がしたのです。
美晴やアンさんをはじめとする友人たちの協力により、住む場所や働き口を見つけた貴湖。
一緒に実家へ行き、母親に「彼女はもう、介護はできません」と告げてくれたアンさんを見て、貴湖は彼をヒーローだと思うようになります。
主税とアンさん
貴湖は勤め先の専務、新名主税(ちから)とひょんなことから知り合います。
社長の息子でルックスもよく、男らしくて女性人気の高い主税。男性経験の全くなかった貴湖は、今まで味わったことのない経験をさせてくれる主税に惚れ込んでいきます。
「よく話に出てくる貴湖の親友に会ってみたい」という主税の提案により、貴湖は美晴とその彼氏、そしてアンさんを誘って五人で食事をすることになります。
平和に進んだと思ったその食事会でしたが、次第に主税とアンさんの間にぎすぎすした空気が流れ始めます。
いつもは誰にでも優しいアンさんも、不機嫌な様子でした。
食事会の後、「あの男とあまり会わないでほしい」という主税の言葉に、男性と伝えていなかったことを謝り、でもアンさんの態度が悪かったのは主税が挑発的だったからではないかと伝える貴湖。
しかし主税は「あいつは店に入って来た時から俺を睨んでいた」と言います。
アンさんの知らない一面に混乱する貴湖。そしてその日を境にアンさんは明らかに貴湖を避けるようになりました。
さらにその後、アンさんは職場を辞め、住んでいた家からも居なくなってしまったことがわかりました。
主税の本性
ある日貴湖は職場の人から衝撃的な事実を告げられます。
主税は婚約をしていたのです。
連れて行ってもらった料亭の女将が、社長である主税の父親の愛人であることを併せて知り、避けられない「血」の存在に絶望する貴湖に、主税は事実を認めた上で
「この関係を続けたい」と告げます。
考えたい、と言ったうえで、数日後貴湖は「あなたがいないとだめ」と、愛人でいることを選びます。
主税は貴湖を幸せにすることを約束し、セキュリティ万全のマンションに住まわせます。
「愛人」という明確な関係性が生まれたと同時に、主税の束縛も強くなるのでした。
手紙とアンさんの想い
そんな中、主税から彼の父親宛てに二人の関係を知らせる手紙が届いたことを知らされます。
差出人はアンさんでした。
あの日から一度も接触をとっていないアンさんからの手紙に動揺する貴湖。
主税は個人的に貴湖の周りを嗅ぎまわっているだろうアンさんを警戒し、できるだけ家から出ないように言います。
しかし、その次は会社宛て、その次は婚約者宛てにもアンさんは同様の手紙を送っていました。
さすがに父親から貴湖と別れるように言われた主税ですが、言うことを聞きません。
アンさんに凄まじい怒りを抱いた主税はあらゆる手を使ってアンさんの素性を探ります。
そしてついに、アンさんがなぜこんな遠回しな手を使って二人の仲を裂こうとしているか明らかになります。
アンさんは、トランスジェンダーだったのです。
戸籍上は女性のまま、男性ホルモンを注射することによって男性の体になろうとしていたのです。
この事実を知った主税は、すぐにアンさんの母親に電話をし、彼女が男性として暮らしていること、自分の恋人にストーカー行為をしていることを矢継ぎ早に伝えます。
母子家庭で育ったというアンさんの母親は激しく動揺し、何度も謝罪します。
それからもアンさんの居場所を突き止めた主税は、これまでの報復のようにアンさんに様々な仕打ちをしているようでしたが、軟禁状態の貴湖は知ることができません。
あげく、美晴と食事に行きたいことを伝えた貴湖は主税に頬をぶたれます。
優しかった主税を豹変させてしまったのは自分だと思い、アンさんの優しい言葉を思い出した貴湖は、なんとしてでもアンさんに会わなければならないと思い立ちます。
行き着く先
なんとか主税の持つ書類を盗み見てアンさんの住む場所を知った貴湖は、主税が仕事の間に家を抜け出しアンさんのもとへ向かいます。
家の前でアンさんを迎えに来たというアンさんの母親と遭遇し、一緒に家に入りますが
そこにいたのは浴槽の中で亡くなっているアンさんの姿でした。
部屋には遺書が二通。一通は不完全な娘なことを何度も詫びた、母親宛ての手紙。もう一通は主税宛てでした。
主税宛ての手紙には、貴湖と別れてほしいこと、別れないのであれば貴湖だけを見て、彼女を幸せにしてあげてほしいということが書かれていました。
死の直前ですら自分の幸せを願ってくれていたことを知り、貴湖はアンさんが本当に心から自分を愛してくれていたのだと気付きます。
貴湖は主税宛ての手紙を持って家へ帰ります。
帰って早々怒り狂い殴りかかってきた主税に、アンさんが自死したこと、主税宛てに遺書を残したことをどうにか告げ、手紙を読むように伝えます。
しかし、主税は遺書を読もうともせずまっすぐにコンロで燃やしながら「すっきりした」と笑うのです。
その笑顔を見て、貴湖は死を決心し、もみ合いの後自分のお腹に包丁を突き刺します。
病院に運ばれた貴湖。主税は自分が刺したと証言し、示談にしてほしいと大金を持ってきます。
その金を使って大分の海辺の一軒家を買い取ったのでした。
現在
貴湖を探しにやってきた美晴と一緒に少年の居場所を探す貴湖。少年の名前が愛(いとし)と判明し、そのルーツを探りながら引き取り手が見つかります。
すぐには難しくとも、貴湖と愛はいずれ一緒に暮らすことを約束します。
貴湖と愛は、同じ境遇に会いつつも必死に前を向こうとするお互いを想い合い、一緒に歩んで行こうと心に誓うのでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
読んでいて個人的に衝撃的だったシーンは、やはりアンさんがトランスジェンダーであると判明する場面です。
その後亡くなったアンさんを化粧や花で必死に彩る母親の姿に胸が苦しくなります。
映画の公式HPを見たところ、キャスト紹介のアンさんの部分に「トランスジェンダー」と書いてあったため、映画では最初から隠さずに描かれるのかもしれません。
キャストも皆さんイメージ通りで公開が今から待ち遠しいです!
気になった方は是非原作を読んでみてください!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
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